『新木場x神保町』~島田小割との出会い~

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たくさんの丸太が海に浮かぶ貯木場で知られた東京都江東区の新木場。現在では長い丸太をそのまま輸入することは少なくその光景は見られないが、木材関連の会社が軒を連ね、通りを歩くと木の香りが辺りに漂う(環境省・かおり風景100選に選定)


創業当時の社屋の前で

創業当時の社屋の前で

しかし近年の木材不況により、新木場内に600社以上もあった木材会社は現在では約100社に減少。そんな厳しい経営環境の中で、なんとか苦境を打破しようと既存商品の付加価値を高め、新たな用途開発や市場開発に挑んでいる会社がある。


その名は(有)島田小割製材所。昭和34年創業で52年もの歴史のある木材職人の会社である。熱き3代目、島田陽嗣専務にお話を伺った。




- 市 瀬 -

現在は庭つくりやドッグランに適したウッドチップを作られて好評を得ていらっしゃいますが、元々はどのような商品が主力だったのですか?


- 島 田 -

熱き3代目島田陽嗣専務

熱き3代目島田陽嗣専務

木材の端材を製紙原料用チップに加工して製紙メーカーに納めるのが事業の主力でした。
しかし、この事業も新木場内で端材が安定的に発生することが前提でした。近年の外材輸入の増大で既に完成品で国内に入ってくる割合が増え、当社の主力事業に危機感を覚え始めました。


- 市 瀬 -

木材加工を生業としていた会社がその木材の流通構造の変化によって苦境に立たされたわけですね。


- 島 田 -

そうです。木材一筋と言えば聞こえはいいのですが、逆にそこに落とし穴があったわけです。特に当社のような中小零細企業の企業努力では到底及ばないレベルの構造変化でした。


- 市 瀬 -

その危機感が新しい商品の開発への情熱につながったのですね。


- 島 田 -

情熱というか、このままでは廃業という悲壮感だったかもしれませんね(笑)
ただ、親父(島田社長)とは随分と激論を交わしましたね。毎日喧嘩状態でした(笑)
木材屋が木材を扱うことを止めるわけにはいかない。でも同じチップでも付加価値をつけることによって販路も広がり、また利益にもつながるのではないかと考えました。量だけを追いかける危険性を質への転換で補おうとしたわけです。


- 市 瀬 -

今のお話は危機感が新たな可能性を求めたきっかけになったという意味でも当社が紙の卸商として紙の販売だけをするのではなく、紙に『環境配慮』という付加価値をつけて市場に提供しようと試み、その第一弾として2003年、国内でいち早くFSC認証を取得(CoC認証)したことに重なるような気がします。


島田小割のチップ技術に感心

島田小割のチップ技術に感心

話は変わりますが2000年に現在の丸ビルの新築工事のときに土中に埋まっていた約4,500本もの松杭をチップにしてノートや封筒の原料にしたことが話題になりましたが、そのチップ化の工程を担ったのが島田さんですよね。


- 島 田 -

まだまだ挑戦はつづく…

まだまだ挑戦はつづく…

そうなんです。あの時は随分と話題として取り上げられましたが、その量と作業は大変なものでした。今思うとよくもあの量を消化できたなと思います。しかし、それがひとつの転機となり、今の島田小割につながったとも思っています。つまり、あの時もそれまでと同じ製紙用チップをつくったわけですが、その取り組みは話題になったわけですので新しいことをすること、チャレンジすることは社会的にも認められるチャンスだということが経験できました。


今、当社で力を入れている一般消費者向けのウッドチップも製紙用原料のチップも木材を切削機にかけることは一緒です。しかし、その工程に改良を加えたり材料を変えることで付加価値を見出そうと努めました。また商品を作るだけでは自己満足になりかねないので、その利用方法を提案したりお客様の要望を沢山聞いて商品に反映させることでさらに価値のある商品として受け入れていただくようになったと思います。


- 市 瀬 -

実はその記事が新聞で取り上げられた時から島田さんのことはとても気になっていたんです(笑)
機会があれば是非そのチャレンジャブルな姿勢を学ばせていただきたくて。
また対企業への販売(BtoB)から一般消費者への販売(BtoC)へと経営の舵を大きく切られたその努力と情熱が大変勉強になります。


- 島 田 -

いえいえ、そんな格好いいもんじゃないですよ。自分は単純ですし、常に新しいことを考えることが好きなだけです。結果として今の会社の構造改革につながっただけですよ。しかし、まだまだ安心している場合でも身分でもありません。常に顧客満足度とニーズを追求し続け、提案努力も怠らないよう努めていかなければなりません。新木場の貯木場から丸太が消えてしまったように、いつどこでどう市場構造が変わるかわからないのですから。これからもトライ&エラーの精神で新たな可能性に挑戦していきたいと思います。


- 市 瀬 -

その意気込み、情熱が素敵ですね。まさにそれが島田ブランドと言えるのではないでしょうか?森林からの恵みである「木材と紙」を扱っている者同士、厳しい経営環境も同じではありますがお互い刺激しあいながら前を見て進んでいきましょう。

最後になりますが、島田さんの趣味はなんですか?


- 島 田 -

愛犬とのじゃれ合いです(笑)

愛犬とのじゃれあい・・・・

愛犬とのじゃれあい・・・・